カナダ、バンクーバーで行われたフィギュアスケートGPFで紀平梨花選手が優勝しました。
紀平梨花選手はシニアデビュー1年目。加えて、オリンピックチャンピオンのアリーナ・ザキトワを破っての勝利は得難いものがあり、とても感動しました。
シニアデビュー1年目のGPF優勝、トリプルアクセルを武器にすること、そして、浅田真央選手以来のGPF優勝ということで何かにつけて紀平梨花選手は浅田真央選手と比較されていますね。
インタビューなどでも何度も「浅田真央選手、浅田真央選手・・・」と聞かれて紀平梨花選手は疲れているだろな~と推測しています。
紀平梨花選手は紀平梨花選手。
浅田真央選手は浅田真央選手。
と分けて考えられないのかしら?とイラっとしながら眺めています。
韓国にも登場したキム・ヨナの後継者、イム・ウンス選手
韓国女子選手ではキム・ヨナ選手以来のGPS台乗りだと思います。金はザキトワ選手、銀はサモドゥロワ選手、銅がイム・ウンス選手。ロステレコム杯。
おりしも、お隣韓国でも浅田真央選手のライバルと目されたキム・ヨナ選手の後継者としてイム・ウンス選手に注目が集まっています。
イム・ウンス選手は素晴らしいプロポーションと可愛い少女のような可憐さ、綺麗なジャンプ、繊細で上品な表現力が魅力的ですよね。
まだまだジュニアの選手という雰囲気を兼ね備えており、正直、今後、トップグループに入れるかどうかはかなり微妙だと思っています。が、イム・ウンス選手が最近の韓国選手の中では有望株であることは間違いありません。
さて、そのイム・ウンス選手も何かにつけて韓国メディアに「第2のキム・ヨナ」「キム・ヨナの後継者」と目されて気の毒に思っていましたが、同じことを紀平梨花選手にも思ってしまいました。
浅田真央選手は多くの物語を紡ぎ、時代のヒロインになった
浅田真央選手を見るとわたしはつい微笑んでしまいます。
親戚の可愛い女の子を眺めているような気持ちになります。アレクセイ・ヤグディン引退後、特に注目する選手がいなかったわたしの心の中にスーッと入ってきたのが浅田真央選手でした。
彼女の滑りをはっきりと認識してみたのは全日本でした。
ジュニアの大会を席巻していた少女がシニアの世界でいきなり2位に台乗りした衝撃。どこまでも透明なイノセンスさ、エアリーな軽やかな滑り。ふわり、ふわりとしたジャンプが本当に魅力的でした。これぞ、浅田真央!という世界が「オズの魔法使い」にはあふれていましたね。
その後、『月の光』や『くるみ割り人形』、『幻想即興曲』など数々のプログラムで魅せられていきました。
また、インターネットの利用が普通になるにつれて、浅田真央選手の情報に触れることが多くなり、ますます胸ときめいたもの。そう、彼女の一挙一動に心動かされたものです。
憎たらしいほどに魅惑的な、悪役としてのキム・ヨナ選手の存在
そして、ジャンプの矯正や2度の五輪での感動、お母様の死、ライバル兼悪役のキム・ヨナ選手の存在。このキム・ヨナ選手の存在は大きかったですね・・・!
キム・ヨナ選手が明確なライバルというか悪役として存在してくれたおかげで、わたしたちファンもエキサイトしたような気がします(笑)
そういう意味ではキム・ヨナ選手には感謝するしかありませんね。
そして、彼女のスピード感あふれる滑りとダイナミックな幅のあるジャンプはある種の魅力がありました。そう、彼女はまさしく女王でした。「高慢な女王」という地位がピッタリで感心させられたものです。
それに対して、浅田真央選手は正しく正統派のヒロインでした。
古典的な物語に登場するヒロインそのものでした。ただただ愚直に、ひたむきに頑張る健気なヒロイン、という地位を築き、わたしの心を揺さぶったものです。
彼女の引退はわたしの中でフィギュアスケートファンとしての引退でもありました。
もう、浅田真央選手ほど夢中になれる選手はいないと思うの。

そして、紀平梨花選手は紀平梨花としての物語を紡ぐ
紀平梨花選手を見ているとスポーツマンだな、と感じます。
浅田真央選手に感じたようなエアリー感やふわり感よりも、ダイナミックな広がりを感じさせる滑りを見せてくれます。今シーズンのFSの影響もあるかもしれませんが、紀平梨花選手は華やかで力強い雰囲気を醸し出していますね。
どこまでもイノセンスさを醸し出していた浅田真央選手に比べると、紀平梨花選手は涼やかでシャープな雰囲気が漂っているような気がします。
そして、その紀平梨花選手の物語はまだ始まったばかり。
今後、彼女はこのまま快進撃を続け、浅田真央選手のように時代のヒロインになるのか、もしくは時代の波に飲み込まれるか。それはわかりません。
なんとなくですが、幼い年にここまで完成した技術があれば、彼女は北京五輪の時も割と良い位置にいるような気はします。
ただ、北京五輪まではまだ時間があります。
その間にルール改正が入る可能性もあります。そして、紀平梨花選手の体形にも変化が出てくるでしょう。大人の女性への階段を上っていくでしょう。そんな中、紀平梨花選手がどこまで体型変化に対応できるかもひとつのポイントになるでしょう?
そして、もう一つ大切なのは強いライバルの存在。
個人的には紀平梨花選手にとって「こいつにはかなわない、だからこそ、こいつを倒したい」と思わせる存在がいる方が見ている方としては楽しいですね。
紀平梨花のライバルは誰か?ザキトワか、コストルナヤか、トルソワか、はたまた別の選手か
コストルナヤ選手。
これから世界の舞台で戦う紀平梨花選手にとっての宿命のライバルは誰になるでしょうか?
スポーツのライバル間の争いというのは面白いものです。
わたしの記憶では、かってのヤグディン vs プルシェンコ時代はスリリングでした・・・!宿命のライバル、お互い、この相手にだけは負けたくない、と。
そういう意味ではかってのメドベージェワ選手やザキトワ選手の一強時代、現在の羽生結弦選手のような存在はちょっとしらけます。
彼らを倒すほどの宿命のライバルが現れてこそ、わたしは心躍るのです。
事実、わたしはザキトワに破れたメドベージェワ選手に魅力を感じました。それまでは「ほー強いな、ほー」と眺めるだけの存在でしたが、負けた彼女、今シーズン苦戦している彼女に胸が引きちぎられそう・・・!
無敵のヒロインは要らないのです。
強いけれど弱い。弱いけれど強い。ライバルに倒されてもまた立ち向かう。そういう選手に心躍るのです。
そういうライバルが紀平梨花選手にも欲しいものですね。
ジュニアGPFの女王コストルナヤ選手か4回転をバンバンと飛ぶトルソワ選手やシェルバコワ選手か。それとも、韓国のイム・ウンス選手が思いがけず成長してキム・ヨナを凌駕する存在になって立ちふさがってくるか。もしくは別の選手がすい星のごとく登場してくるだろうか。
考えるだけで、ワクワクしてきます。
紀平梨花選手の競技人生がどのようなものになるのか。
浅田真央選手とは違う、別の驚きと感動を見せてください。
