漫画『3月のライオン』が大好きです。
感情の変動が大きいわたしが落ち込んだ時、どうしようもないしんどさや絶望感、やるせなさを感じた時に読む漫画が『3月のライオン』。
『3月のライオン』の主人公のプロ棋士、桐山零六段(現在)を中心に話がすすみますが、この桐山零君の心の動きが「わかるな~」とシンクロしてしまうのです。
本日はわたしが『3月のライオン』で心動かされた名言を紹介します。
※以下、ネタバレがあります。
漫画『3月のライオン』とは?
史上5人目の中学生プロ棋士、藤井聡太七段(現在)の活躍で日本中がわいたことも記憶に新しいのではないでしょうか。
漫画『3月のライオン』は藤井聡太七段のように、中学生プロの棋士になった桐山零君の仕事と青春、成長、そして、強さともろさを併せ持つ心の葛藤を描いています。
10代で自分で生活費を稼ぎ、一人で生活をしている桐山とそんな彼を見守る個性豊かな周囲の人たちとのハートフルなやり取りがこの漫画の魅力。
映画化、アニメ化もされ、いずれも原作の持ち味を損なわない丁寧な作りで大人気を博しました。
公式サイト:http://3lion.younganimal.com/
登場人物
- 桐山零:主人公。5人目の中学生棋士。将来の名人候補として目されている。両親と妹を亡くし、父の友人、かつプロ棋士である幸田柾近のもとで内弟子として過ごす。オールラウンダー。宗谷名人に憧れている。
【川本家】
- 川本あかり:長女。20代。母と祖母亡きあと、二人の妹の母代わり。料理がうまい。評判の美人で銀座のクラブでも働き、棋士のファンが多い。
- 川本ひなた:次女。中学生~高校生。姉あかりや祖父の店の手伝い、妹の面倒を見るしっかり者。でも、中身は子ども。繊細で一直線なところもある。
- 川本モモ:三女。保育園に通う。キャラクターに体型が似ている二海堂に懐いている。
- 川本相米二:3姉妹の祖父。和菓子屋・三日月堂の店主。
【高校】
- 林田高志:桐山の1年時の担任。将棋ファン。
- 野口英作:放課後理科クラブ(放科部)の部員。頼りになる先輩。
【幸田家】
- 幸田柾近:桐山の養父であり、師匠。八段。
- 幸田香子:桐山の義姉。美人で気性が激しい。桐山零と父親に対して鬱屈した感情を秘めている。
【棋士】
- 二階堂晴信:桐山の親友(心友?)にしてライバル。病弱だが将棋への情熱は熱い。
- 島田開:八段。二階堂の兄弟子。努力の人。
- 宗谷冬司:名人。天才棋士。最年少名人就任などの数々の記録を塗り替えた人。全棋士のあこがれ。
- 後藤正宗:九段。香子と因縁あり。
- 神宮寺崇徳:日本将棋連盟の会長。第16世永世名人。
『3月のライオン』は本当にいろいろな方が登場します!お気に入りの登場人物を探すのも楽しいものです。
漫画『3月のライオン』名言をまとめました
人間関係に悩んだ時
あのな、大事な事だぞ?いいか?一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ。でないと誰もおまえにも頼れないんだ。
『3月のライオン』3巻 「夜を駆ける」
対局のたびに学校を休み、出席日数が足りない桐山。その出席日数の足りない分を補うために、大量のレポートを出されるが、一人ではどうしてもできないことがあった。そのため、林田先生とともに放課後理科倶楽部の面々に協力を仰ぎ、レポートを完成させる。林田先生による桐山へのありがたいお言葉。
コミュニケーションだよ、桐山。何がしたいのか、何を考えているのかを想像して相手の気持ちに寄り添うことだ。相手をよーく見ている事だ。相手をよく見る事だ。
『3月のライオン』6巻 「小さな世界」
中学生のひなちゃんがいじめ問題に悩んでいる時。ひなちゃんを慰めるため、駒落ち将棋(上位者の駒の一部を取り除いた状態で勝負、この場合、桐山の駒を落とした状態で)をさすが、5分後、ひなちゃんに勝ってしまう桐山。将棋で周囲の人を楽しませることができる先輩、横溝七段の言葉を噛み締める。
「他人の気持ちを考える人間」が「何も考えてない人間」に勝てるわけがない!!空気なんか読んでたらボロボロにされるだけだ!!だからこそ今!!満を持しての桐山なんだよ!!
だいたい好きな女の一大事に「空気読んでて何もできませんでした」じゃ男に生まれた意味がねーだろ!!『3月のライオン』10巻 「約束」
女を作って出ていった川本家の父が唐突に訪れる。海千山千のプロの棋士たちと渡り合ってきた桐山が「何も考えていない」川本家父に立ち向かう必要性を林田先生が野口先輩に語る。
クスリと笑いたいときに
「言いたい事を言う」のと「言わなければいけない事を言う」の違いを知ることが大人への第一歩ですよ。
『3月のライオン』11巻 「たのしい晩ごはん」
高校生の教え子野口に諭される林田先生(36歳)。
見えた・・・僕が今やるべき事・・・!!
『3月のライオン』11巻 「やさしい歌」
ひなちゃんにプロポーズし、川本家父を追い出し、あかりさん、ひなちゃん、モモちゃんとのウフフな家族4人生活を思いめぐらせている桐山。しかし、川本家祖父、叔母との会話であかりさんの幸せのために僕ができることは・・・!字面だけを見ると格好いいけれど、やっていることは中二病的発想的な。
落ち込んだ時に
無理だよ、他人が説得しなけりゃ続かないようならダメなんだ。自分で自分を説得しながら進んでいける人間でなければダメなんだ。
プロになるのがゴールなんじゃない。なってからの方が気が遠くなるほど長いんだ。進めば進むほど道はけわしく、まわりに人はいなくなる。自分で自分を調整・修理できる人間しかどのみち先へは進めなくなるんだよ。『3月のライオン』1巻 「カッコーの巣の上で」
師匠でもある、養父幸田の言葉。桐山と同じ年の歩が「将棋をやめる」といった時、桐山が幸田に「歩を説得してくれ」と頼み込んだ時に告げた。プロの道の厳しさを体感させてくれる。
だーっ、もう、さっきから聞いてりゃでもでもでもと!!「でも」が100個そろえば開く扉があればいいけれど、はっきり言って、ねーよ、そんなドア!!
『3月のライオン』3巻 「ほんの少しの水」
宿敵、後藤九段との勝負に目が眩み、侮ってはならない相手を侮ってしまった桐山。島田八段の強さと自分の思い上がりに絶望し、転職雑誌を手にする始末。そんな桐山を慰め、力づけようするとする林田先生に対して、「でも」と言い訳ばかり繰り返す桐山に切れた林田先生が告げた一言。
結局、何も変わらなかった。「クリアしなきゃ」と何度も体当たりして、いっぱいケガして泣いたクエストはラストまさかの「もういっか」っていう考えてもみなかった着地点におさまった。
『3月のライオン』10巻 「やわかい風」
幼いころから人間関係に不器用だった桐山。もっと同級生と馴染んで人間関係を広げて、学校を楽しまなければ、と思っていたが、その葛藤から解放された時。
勝った日は大いに喜び、負けた日は反省する。でも、苦しみすぎてはいけないと決めている。
『3月のライオン』10巻 「泳ぐ人」
20年かけてB級2組にあがった入江が3年でぽんぽーんとB級2組に上がった桐山と対戦後に心の中で呟いた一言。入江は勝っても負けても常に同じ容態を保つことを意識している。
人生に絶望しそうな時
「信じれば夢は叶う」それは多分、本当だ。
但し、一文が抜けている。「信じて努力を続ければ夢は叶う」これが正解だ。
さらにいえば、信じて「他のどのライバルよりも1時間長く毎日、努力を続ければある程度までの夢は、かなりの確実で」叶うーだ。『3月のライオン』7巻 「銀の羽根」
新人王の座をかけて、桐山君と戦った山崎順慶の悟り。永世新人王という陰口に葛藤を感じ、才能あふれる棋士に葛藤を感じ、そして、将棋と同じほど心血を注いでいる鳩レースで最愛の鳩が戻らない苦しみ。そんな中、桐山や二階堂と戦い、努力をして1歩でも進む、ということに悟りを開こうとしている。
結果は大事だけどな、桐山、人に伝わるのは結果だけじゃない。世界は結果だけで回っているんじゃないんだよ。
『3月のライオン』7巻 「流れていくもの」
ひなちゃんのいじめ問題が解決したことを林田先生に伝え、「僕は何も役に立たなかった」という桐山に対して林田先生が告げた言葉。お前もひなちゃんと川本家の助けになったよ、と。
「運」や「ツキ」すら必要とせずにここまでやって来た。土橋九段の「努力」の凄まじさを見せつけられた全七局だった!!はなから持って無い「運」や「ツキ」はこの先無くす事もない。そういう棋士は不調やスランプにも縁がない。
『3月のライオン』9巻 「bug」
名人の座をかけて、宗谷名人との七局に敗れた土橋九段を評した藤本棋竜の言葉。宗谷名人と同世代の土橋九段は将棋が人生のすべてという真面目で地味な男。だが、そういう男こそが怖い、とはなむけの言葉。その後、棋竜の座を土橋九段が獲得したことも味わい深い。
自己中心的に生きたい時に
僕、勝手なんで。自分さえ満足ならそれでいいんです。僕の方から好きなのであればそれで充分幸せです。
『3月のライオン』9巻 「死神と呼ばれた男」
死神と呼ばれた男、滑川七段の達観したセリフ。実家が葬儀屋であるため、死に触れることが多かった。それだけに将棋という勝負を通して生を実感し、対局相手が愛しくなる。しかし、対局相手からは恐れられ、どうにも誤解を受けているようだが、とインタビューを受けての発言。
わたしの胸を強く震わせた言葉は入江の言葉
個々によって心の琴線に触れる言葉は異なるでしょう。
読み始めた当初は桐山君の心に勝手にシンパシーを感じてぶわーっと衝撃を食らったような気分でしたが、何度も読んでいるとまた別の見方が出てきました。『3月のライオン』は桐山君だけじゃないんだ、と。桐山君以外の方の葛藤に心動かされるようになりました。
さて、『3月のライオン』は現在も続いていますので、14巻以降も発売されたら追記していきたいと思います。
最後にわたしが一番心震えた言葉を。
20年かけてじっくりとB級2組にあがってきた入江の言葉は胸に染み入ります。その飄々とした佇まいも大人の所作もすべてが胸に染み入ります。入江様・・・!
常に心が揺れっぱなしのわたしは、入江のこの言葉を座右の銘にしたいものですわ。是非とも。
勝った日は大いに喜び、負けた日は反省する。でも、苦しみすぎてはいけないと決めている。
『3月のライオン』10巻 「泳ぐ人」