その人の手は美しい。
ネイルで飾り上げた美しさではなく、ただ、ただ白魚のごとき美しさ。紫外線を知らないがごときの白さと肌理細かく、輝く肌の美しさ。彼女は御年60代半ば(推定)。
主婦でどうやってその美しさを保つことができるのだろうか?わたしが知らないだけでお手伝いさんとかを雇い、家事や仕事を一切しないという恵まれた環境なのだろうか?それともエステサロンとかに必死に通っているのだろうか?
などと妄想を巡らせて、彼女の顔を見ると年相応の面差しがそこにある。
シミもシワもたるみもある。髪もそれなりに寂しいような…?
いずれにしろ、孫のいるおばあちゃん、という雰囲気をふんだんに醸し出している。それだけに白魚のごとき手との落差にいささか戸惑う。

わたしはひたすら妄想をたくましくしていた。
そんなある日、彼女の手が荒れているのが目に入り、驚き、しばし、話題はそのことになった。
そこで知ったのは白魚のごとき手を保つための彼女の血のにじむような努力だった。

きっかけは手荒れから始まった血のにじむような努力
きっかけは手荒れ、とのこと。
若いころに手が荒れに荒れて、病院へ通う日々が続くものの、一進一退を繰り返し、なかなか根治しない…
医者はできるだけ手を使うな、というけれど、子育てと家事は待ってくれない…でも、結局、仕事はやめることに…それでも、手荒れは治らない…
という日々を過ごす中、彼女は徹底して手をガードする方法を考えたそうです。
文字通り、手袋をフル活用していた様子。
きちんと保湿をして、手袋をして保湿をする。手が荒れたら即病院へ行って、処方された薬をきちんと使い、また手袋をする、という生活を意識すること数十年の結果、今の手になったそう。
顔には年相応のシミもシワもあるのに、手はふっくらとしており、かつ、シミがないし、肌理も光り輝いています。そう、お手入れをさぼりまくっているわたしの手など比較にならない美しさ。
もちろん、20代の手とは比べられないかもしれませんが、60代半ば(推定)にしては見事な手だと感心させられるものが十分あり、個人的にはとても羨ましく感じます。
教訓、保湿 + 手袋を徹底すべし
彼女の手は刺激に弱く、ちょっとしたことで荒れるそう。
本当に荒れているときは水すらも刺激になって、荒れる要因に。「水で荒れるの?」それはさぞかし生活が大変に違いない、と驚きました。
また、治ったと思って気をゆるめるとまた手荒れ再発を繰り返す日々を繰り返す中、今は手を物理的にガードして生活するのが普通になった → 結果、手荒れをコントロールできるようになった、とのこと。
そして、彼女の手袋生活はわたしの想像を超えていました。
話を聞く限り、基本的には24時間中16~17時間は手袋をしている感じなんじゃないかしら…!

もちろん、家事は手袋着用で
家事に合った複数の手袋を使い分けています。
わたしもゴム手袋をして家事をしていますし、これは実践している人も多いのではないでしょうか。
料理の時も手袋
もちろん、料理の時も手袋。
料理の前後の手洗い、料理中の水、すべてが刺激になる時期もあったので、今でも、基本的に手袋をして料理をしている、とのこと。
食器を洗うときはもちろんですが、包丁を使うときも手袋、炒める時も手袋、食器を配膳する時も手袋、そして家で食事する時も手袋、とにかくすべてにおいて手袋、だそう。

髪を洗うときも手袋
シャンプーやトリートメントはとても手に刺激があるようで、手袋をして実践しています。調べると今時は洗髪用の手袋もあるんですね…!
スキンケアはスプレー方式
コスメも手にとっては刺激になることが多く、特に化粧水は基本的にはスプレー方式で済ませるそう。
その後は手に刺激のないクリームをさっと塗って終わり、で顔のスキンケアには時間も手間もかけないようにしています。
日中も基本的に手袋
日中も基本的には手袋。
外出の際は普通の手袋。家にいる時は100均でも買える綿100の手袋。
なるほど、と思ったのがこの100均で購入した手袋の先を全部切って使用している、とのこと。
そうすると、このまま大概の作業はできて、かつ、いちいち外す必要性がなくなり1日中つけていても苦にならないそうです。

就寝時は手袋を使ったり、使わなかったり
ここまで徹底しているということは「寝る時ももちろん、手袋よね」と思いますが、それはあまり意識していないそう。
もちろん、荒れているときは気にするそうですが、平常時は寝る時ぐらい素肌で、と思うようです。ちょっとわかるような気がしますね…
ともあれ、彼女はこの生活を数十年、真冬はもちろん真夏も徹底することを意識していたそう。
結果、彼女の手は直接、紫外線にあたることがなく、刺激を受けることもなく、また、常に保湿を保ってきた結果、現在の手になった、とのこと。
ああ、やはり美は生活の延長なのだ…!と感じ入りました。

尚、冷え性で今でもたまにしもやけに悩まされるわたしはユースキンA派。
というわけで、わたしも真似をしてみた
わたしも真似をしてみました。
早速100均で綿100の手袋を3セット購入して、ユースキンAをベタベタに塗って、1日中、この状態で過ごす日々を何日か過ごしました。
確かに手の肌理は整ってきたような気がしますが、今すぐに、彼女のあの白魚のごとき美しい手を再現できそうな気がしません…
そして、つくづく、あの美しい手は何十年にもわたるたゆまぬ血の努力の結果、実現された手なのだ、としみじみしました。
365日、刺激を与えない、保湿をきちんとする、何よりも手を最優先として生活をする…この生活を常に意識した結果、あの羨ましい手を実現したのだ、と。
まさに美は1日にしてならず…と感じ入ったわたしなのでした。
