当ブログにおいて地味ーに人気のあるこの記事、アガサ・クリスティー著『オリエント急行の殺人』※ネタバレあり。 。
どうやら「オリエント急行の殺人 ネタバレ」で訪問されている方々が一定数おられる様子。
「ミステリー小説のオチを先に知ってしまっていいのかしら?」と思うけれど、そこはお好みですね。わたしは知りたくないですが・・・
で、これらの検索キーワードを眺めながら、アガサ・クリスティ―は日本でまだまだ人気があるんだなぁ~と実感中。
さて、アガサ・クリスティーはその生涯で数多の本を記載しました。
今から彼女の作品を手にしようとする人は最初の1冊に選んでいいやら戸惑うことも多いでしょう。
「ミステリー小説のすべてのトリックはアガサ・クリスティーにたどり着く」と言われているだけあって、実に多彩な作品が書店にもAmazonにも並んでいます。
試しにAmazonでアガサ・クリスティーと検索をかけてみると実に357商品もヒットしますからね!
Amazon アガサ・クリスティー
「えっ・・・」と絶句した方。
大丈夫、以下の作品をいずれかを選べば間違いありません。クリスティーファン歴25年の独断と偏見のチョイスですが参考になれば幸いです。
名探偵エルキュール・ポアロの華麗なる活躍。
作者 & 名探偵デビューの記念作『スタイルズ壮の怪事件』。
旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早々事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。
処女作に作者のすべてがある。
それはクリスティーも同じ。キーワードは「田舎、田園風景、上流階級の人々、遺言書、毒薬、嫉妬、どんでん返し、お前が犯人か!?」と。
ミステリーのトリックとしてもなかなかのもので最後まで楽しませてくれます。この頃のポアロはまだなんかつつましくかわいいもの。後年になればなるほど、ポアロには妙な自意識が芽生えてきますものね。笑。
え、そのトリック、アリ!?ナシ!?『アクロイド殺し』。
深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を…
『アクロイド殺し』を初めて読み終えた時、茫然と。ただ、ただ茫然と。
この作品で使われているトリックはアリかナシか(フェアかアンフェアか)当時の英国で一大論争をよんだ様子。そう、いかにもクリスティーらしい、挑戦的な作品、かつ、クリスティー作品の特徴がよく出ています。
サクッとこの作品でクリスティーの魔術にやられちゃってください。そして、のちのミス・マープルに繋がるシェパード医師のお姉さんが忘れがたい余韻を残します。
ヘイスティングズ!ああ、ヘイスティングズ!『ABC殺人事件』。
注意することだ―ポアロのもとに届けられた挑戦状。その予告通り、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺された。現場には不気味にABC鉄道案内が残されていた。まもなく第二、第三の挑戦状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺され…。
ポアロと言えば、ヘイスティングズ大尉!おお、モナミ!永遠の友よ!!!
ということでこの作品を。ポアロとヘイスティングズの会話が楽しいです、特に冒頭。笑
また、この作品で使われているトリックは後に多くの模倣作品を生み出しましたが、やはり先駆者であるクリスティーに勝るもの無し。
個人的には犯人の設定がやや弱い感じがしますが、それでもミステリー小説としては紛れもない一級品。
カウチ探偵、ミス・マープルの鋭い眼差し。
「殺人お知らせ申し上げます」『予告殺人』。
その朝新聞に出た広告に、チッピング・クレグホーンの村人たちは夢中になった。「殺人をお知らせします。十月二十九日金曜日、午後六時半にリトル・パドックスにて……」本気か、それともたちの悪いイタズラなのか?
クリスティーファンの永遠の争い。ポアロかミス・マープルか。
個人的にはミス・マープルに軍配があがります。ポアロの作品は純粋に物理的ミステリーとしてのトリックが冴え、ミス・マープルの作品は心理的ミステリーとしてのトリックが冴え、とな。ゆえにミス・マープル作品はポアロ作品よりも読む人を選ぶでしょう。
でも、ハマるとこの上ない幸福感を味わえることを保証します。
ノンシリーズ作品。
殺人が起こるその『ゼロ時間へ』。
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?
ノンシリーズものと言えどバトル警視の名前は5作品の中で見ることができます。
その中で最もバトル警視がその才能を遺憾なく発揮するのが本作。「殺人は結果なのだ。」という老弁護士のセリフが忘れがたい余韻を。
また、クリスティーらしく、非常に恋愛という感情に重きが置かれた作品でもあります。そういう意味ではメロドラマチックな作品。
注意。間違ってもこれから読んではいけない。
- エルキュール・ポアロ:『カーテン』
- ミス・マープル:『スリーピング・マーダー』
これらの本はポアロとミス・マープルの本を一通り読み終えた、いわばクリスティー通が読むべき本。
通でないとこの二冊が持つ独特のしみじみとした余韻は理解できず、「凡作だなー」という感想に終わる可能性が。
万が一にも初めてのアガサ・クリスティー作品としてこの2冊を入手したのなら、さっさと本棚に収納しちゃってください。
そして他の本から読みましょう!
また、短編集も避けた方が賢明かもしれません。短編集のほうが読みやすくていい面もあるのですが、そこで使われている設定やトリックが長編作品に使われていることが間々あり、拍子抜けすることが。
なので、個人的にはある程度長編を読み込んでから短編を読むといいかも!と。
「あ、このトリックはあの作品で使われていた・・・」と思い浮かべるのもまたクリスティー小説ならではの愉しみですね。
おまけ:余計なお世話、「自分で選ぶ!」という方には百科事典。
こんなものもありますよー笑。
おおまかな粗筋が記載されていますのでざっと読んで気になる本を探すのもいいかもしれませんね。
もちろん、ネタバレはありませんので、安心して手にしてくださいませ。マニア必見で気づいていなかった細かい設定なども記載されており、一人ニマニマと。
ああ、幸せ、とな♡