1975年、アメリカの二人の女性によって書かれたファッション哲学書『 チープ・シック お金をかけないでシックに着こなす法 』。
ファッションメーカーや流行に左右されない、自分のために自分で作り出すファッションスタイルを構築していく方法を提案しており、45年近くたった今でも読むとハッとさせられます。
お金をかけないで、流行に流されないで、本当に必よなものを厳選し、自分らしくあるための自分のスタイルを身に着けること。
いつの時代も永遠のテーマなのでしょう。
1975年よりもマーケティングが発達した現在のほうがより切実な悩みかもしれませんね…!
チープ・シックが提案するファッションとは?
しっかりとした主張のある、素敵な装いをしていると、気分が高揚してきます。くだらない服をごちゃごちゃと持つのをやめにすると、生き方まですっきりとしてきます。自分自身を喜ばせるために、服を着てください。うまくいったときには、周りの人達もそんなあなたにうれしくなっていきます。
として、ベーシック、クラシカル、アンティーク、スポーツファッション、作業着などでカテゴライズされ、チープにシックに着こなす方法が提案されています。
と同時に当時のファッションスナップが紹介されているのですが、さすがに時代を感じるものがあり、必ずしも今の時代にあうものではありません(^^;
1975年当時のアメリカといえば、ベトナム戦争が終焉を迎えた年でもあり、ヒッピーファッションの全盛期でもありましたね。
また、チープ・シックと書かれていますが、おカネをかけるべきところにはかけます。でも、自分のファッションスタイルに自信を持っていると流行に流されず、結果としてチープでもシックに着こなすことができますよ、というお話。
でも、わたしが想像していたよりも皆さんの経済感覚はシビアでした…!
当時のファッションを楽しめる映画
代表的なのはウッディ・アレンの『アニー・ホール』。のちのウッディ・アレンのコメディー作品の原型ですね。
ほっそりとしたダイアン・キートンがダボっとした白いシャツ、ネクタイ、ベスト、パンツ、帽子を組み合わせると最高にキュート…!
『チープ・シック お金をかけないでシックに着こなす法』に見るファッション哲学あれこれ
尚、1975年当時のレートは1ドルは約304円。なので、100ドルといえば約3万円。物価変動もあるので、一概には言えませんが、概ね現在の感覚でとらえています。
そして、意外と皆、お金をかけていないのだ、と勉強させられました。わたしも3万円以内に抑えよう。
ヘレン・ゲイレット NYの写真ジャーナリスト
私の持ってる服の95%は、ネイヴィー・ブルーか白、あるいはカーキー色です。ショッピングにはめったにいきませんが、いくときには、買いたいものがはっきりと決まっています。1年間で服につかうおカネは、80ドルから100ドル、それに靴代。それだけです。
一年中同じ安いシャツを着て過ごし、靴とアクセサリーにだけはおカネをかけて過ごす彼女のファッションはいつだって彼女の見事なプロポーションと同じ。
本にはヌード写真も掲載されているのですが、見事なプロポーション。
彼女にとってファッションとは自らのボディであり、洋服はしょせん、そのボディを覆い隠すものでしかないのでしょう。
ダイアナ・ヴリーランド 『ヴォーグ』の編集長
顔、髪、そしてボディから、とりかかるべきよ。このベーシックがきちんとするまでは、服のことなんか忘れてなさい。服は、第二義的なものね。服は飾りだから、それを着せかけるベーシックとなる体が、何よりも大事。自分のベーシック、つまり、髪とか目とか体力、歩き方、表情など、すべてを、自分にできる最高の状態に仕上げて、自分を完全につかむことが第一。
ヴォーグの編集長に云われるとひれ伏すしかありません。
先日、ネットを徘徊していると、プロのモデルがランウェイをさっそうと歩いている写真とそれを購入して着こなしているセレブの比較写真を見ました。確かに違います…モデルはさすがにモデルなんだ…という見事なプロポーションと雰囲気でした。
あそこまでストイックにはなかなかなれそうにないけれど、背筋とかスタイルとか肌や髪の質感に気を配ることはできるな、と恥じ入りました。
続けて、
「まず、私だったら、靴におカネをかけるわね。」
とのことで、ファッショニスタはまず靴におカネをかけるのか、と気づかされました。
インゲボルグ・デイ オフィスで働く女性
夏と冬に私はサンローランの、黒いプリーツの入ったデシンのスカートをはくのですけれど、これは1972年に買ったものです。4年、着てます。60ドルでしたから、1回着るごとの値段は、安いですよ。400回着るとして、60ドルを400で割れば、1回着るごとの値段は15セントです。何年か前に16ドルで買ったイブニング・ドレスはまだ2回しか着ていませんから、1回の値段は8ドルにつきます。60ドルのスカートのほうがはるかに安くついているわけです。
チープシックとは文字通り、ただ安い服を着ることをさすのではなく、自分を最高に引き立ててくれる、最高の着心地の洋服を自分が着たおすこと。そして、そこに自分のスタイルがあらわれるんだなーと感じました。
この1回当たりの金額を計算するのはわたしも好きで、よくやります。
結果、普段着こそ金をかけろ、という結論に達しました。
逆にお出かけ着とか訪問服は見栄えがちょっと良ければ、価格は安いものに限るなーと思っちゃっています。結婚式のドレスや喪服とかに5万も10万円もかける感覚はわたしの中にはありませんね…一生モノの喪服はわたしには想像がつきません…
洋服の価値とは?
服装に関していまなんらかのステータス・シンボルのようなものがあるとするなら、それは、その服にいくらおカネをかけたかではなく、どれだけ安くあげたか、ということだろう
ヒッピーファッションが全開の時代だったからこその価値観であると感じました。
しかし、生粋の関西人であるわたしはこの価値観に大いに共感しました。いいものを安く買うことに醍醐味を感じ、また、それを周囲に自慢してしまうときもあったので…
ナンシー・クロウ 出版社勤務
はっきりとした自分のスタイルを持つための秘訣は、自信なのよ。自信に満ちて着ていれば、その服がただ単にいまファッショナブルであるだけではなく、自分たちの服よりもはるかに進んだシックなものなのにちがいない、と人は思い込んでくれるのよ。
去年は服に150ドルくらい使ったかしら?いまはいているブーツは7年も前のものなの。去年、靴は2足買ったの。どっちも25ドルぐらいだったわ。
わたしが出版社に勤めていた頃はファッションだけで年間で30~40万近くおカネをかけていました。
それとは別にバッグも靴も、エステも自己投資も…今思うと恥ずかしいほどの散財です。自宅住みだったことも大きいかもしれません。
それにしても当時のわたしはポリシーなきファッションでとりあえず流行に踊らされている感じでしたわ…
あの頃のわたしにこのチープシックのような概念があれば、いくら貯金が増えただろう…とたまに想像します。
でも、あの時代があったからこそ、反動としてファッションはそこそこでベーシックでシンプルでいいわ、と思うようになった気がします。
でも、まだ自信がないことがわたしの問題かもしれません。
『ヴォーグ』の編集長曰く、「スタイルがすべてね」
「スタイルがすべてね。スタイルという言葉が、一番重要なの。ファッションという言葉も、うまく理解されていないわね・なにを意味するのか分からずに使っている人が多いから。経済とその社会的な状態によって、つくりだされるリズムがファッションなのよ」
ここでいうスタイルとは文字通りプロポーションや肢体を指す場合もあれば、ファッションにおけるポリシーをさすのかしらん?と妄想してみました。確かにスタイルは重要ですね。
で、ファッションの意味を調べました。
流行。はやり。特に、流行に即した服装・髪型など。また、単に服装の意にも用いられる。「最先端のファッション」「オールドファッション」
わたし、ファッションって洋服やバッグのことを指すと思っていたのですが、違うんですね。「流行とかはやり」が本来の意味なんですね…
何はともあれ、ダイエットとメルカリ出品に燃え出す夏
洋服を着こなすには自信、そして、自分のプロポーション。
ただ単に体重が痩せていればOKとかいう単純なものではなく、自分が自分の体をコントロールしているという自信が必要なんだと思います。現在のわたしの体型(中肉中背のおばちゃん体形)ででも自信満々の人はきっといるでしょう。
でも、わたしは現在の体型に自信が持てないのでダイエットを考えます。
そして、それからファッションなのだ、自分に自信がないと何をきてもきっと自分のファッションに自信が持てないわ、と。
まずは体形カバーを考えて洋服を買うのではなく、体形を隠さないでありのままのわたしでいられるファッションスタイルを目指そう、と。
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— 小学館 Oggi (@oggi_jp) September 30, 2018