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『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8の駄作ぶり、誰も何者にもなれなかった悲劇はいかにして生まれたのか

2019年10月28日

悲しい少女 イメージ画像

人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原題は、『Game of Thrones』。

『Game of Thrones』とは王座を巡る争い王座の争奪戦、という意味になります。王座を意味するThronが複数形になっていますので、諸王国の王座を巡る争いという意味でしょう。

実際、そのタイトルの通り、『ゲーム・オブ・スローンズ』は王座を巡る激しい争いがひたすら続きます。

2011年の春から放送がはじまり、世界を熱狂に巻き込み、2019年の春の放送で全シーズンを終えました。

結論、シーズン7までは素晴らしい出来だったのに、最後のシーズン8は凡作、いえ、はっきりと書きますとどうしようもないほどの駄作になり果てました。

どうしてこんなに駄作になり果てたのか?

悲しみの気持ちを抱えながら、綴りたいと思います。

参考ゲーム・オブ・スローンズ( Amazon )

管理人
以下、盛大なネタバレがあります。

ファンタジー小説とは何か?己が何者であるかを証明する物語

少女 イメージ画像

そもそも、ファンタジー小説とは何か?

Weblio辞書によると以下のように書かれています。

ファンタジー(英: fantasy [ˈfæntəsi, ˈfæntəzi][1])とは、超自然的、幻想的、空想的な事象を、プロットの主要な要素、あるいは主題や設定に用いるフィクション作品のジャンルである。元は小説等の文学のジャンルであったが、現在はゲームや映画など他のフィクション作品を分類する際にも用いられる。

定義的にはこれでいいとして、わたしの中ではファンタジー小説とは登場人物(特に主人公)である持たざる者が何かを持ち、「己が何者であるか」ということを証明する物語でもあります。

たとえば…

落とし子のジョン・スノウは母親を知らず、国を追われたデナーリスと捕虜の身であるシオン・グレイジョイは身の寄る辺を持たず、サーセイは本当に欲しいものを手に入れることができず、ジェイミーは愛する人を手に入れることができず、ティリオンは正当な評価を得られず、ブライエニーは愛も騎士の身分も得られず、ブランは自由を得られず…

満たされない人たち。

しかし、彼らは最終的に何かを得るはずなのです。

そう、持たざる者が持つ者になる。自分が何者であるかを証明する。それがファンタジー小説なのです。

管理人
わたしは『ゲーム・オブ・スローンズ』にもそれを期待しました。しかし、それは見事に打ち砕かれました。

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8に期待をしたこと

『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン8に期待をしたことはこの2つ。

  • 夜の王との戦争
  • サーセイの最後

これでしょう!

そして、その結果、誰が鉄の王座に座るのか、ということ。

  • 鉄の玉座に座るのは誰か? ジョン・スノウかデナーリスか第三者か

さて、これらを星5つで評価していきましょう(★良い、☆悪い)。

死より恐ろしい、夜の王との戦争の終結 ★★★★☆

シーズン8の1話~3話。

壁を突破した夜の王とスターク家の軍団とデナーリス軍団の戦いと勝利に至るまでが描かれています。

これは楽しかった…!

画面がスモークがかっていて、肝心の戦いのシーンにおいて、いろいろとごまかしまくっているのが分かったけれど、それでも楽しかったです。

戦争のシーンにとてつもない迫力があり、夜の王の恐ろしさをまざまざと感じ入ることができました。ホワイトウォーカーを操り、死人をすべて蘇らせ、果てることのない戦いがいつまで続くのか…とハラハラしました。

しかし、わたしの予想に反して(?)一晩で夜の王との戦いは終結。

そして、その戦いを終結したのは圧倒的ヒーローの立場にあるジョン・スノウでもなく、圧倒的ヒロインのデナーリス・ターガリエンでもなく、暗殺者として教育されたアリア・スタークという。

管理人
え、え、え???と目が白黒。ジョン・スノウは何をしていたのだ?デナーリスは何をしていたのだ?と思わずにはいられない…アリアが悪いわけではない、しかし、ここはジョン・スノウが倒すべきだろう。

アリアがダメなわけじゃありません。

が、わたしの中でアリア・スタークはサーセイ・ラニスターを倒すべき一人でした。

そのアリアがここで夜の王を倒したということは…と嫌な予感がよぎりました。

評価:★★★★☆

一言:シーズン8ではまだ認められる

稀代の悪女、サーセイの最後 ★☆☆☆☆

物語の中でデナーリスは何度か覚醒を得て、何者かになろうとする瞬間が多々ありました。

ターガリエン家「嵐の申し子」デナーリス。鉄の玉座の正当な後継者。アンダル人たちと最初の人々の女王。七王国の守護者。ドラゴンの母。大草海の女王。「焼けずの女王」にして奴隷解放者。

これらの肩書はデナーリスに何ももたらしませんでした。

最後にきてミッサンディを失ったデナーリスの慈悲は怒りにとりかわり、ヴァリス公を処刑し、ドロゴンを使って王都キングズ・ランディングを破壊する行為に出ます。

その威力はすさまじく、栄華を誇ったキングズ・ランディングはたちまちのうちに瓦礫の山に。

管理人
デナーリス、まずはサーセイがいるであろう王宮を狙えよ!と思いましたが、話の展開上、なぜか庶民のいる場所から破壊しつくされていきます…この無意味な殺戮。

見ているだけでしらけました。

し か も …

稀代の悪女、散々、わたしたちを振り回したサーセイ・ラニスターの最後は何なのよー!!!!!

「わたし、怖い、わたし、死にたくない」とそこら辺の女みたいなことを吐き、愛した双子の弟、ジェイミー・ラニスターの腕に抱かれてレンガの下敷きになるとは何事!?サーセイ、あんた、そんな女だった!?何、その圧倒的勝ち逃げみたいな終わり方!?

サーセイ、あなたには最後まで稀代の悪女としての姿を全うしてほしかった…!(血を吐きながら叫ぶ)

サーセイには死しかないと分かっていた…!でも、求めていた死はこんな形じゃない…!!!!!!慈悲の欠片もないデナーリスかアリアに冷たく殺されるべきだった…!それがサーセイ・ラニスターの宿命だったはず…!!!!(血を吐きながら叫ぶ)

管理人
これは本当に納得がいかない…ここまで散々、サーセイの悪行を描いておきながら、そのヒロイン的な死は何!?デナーリスよりもヒロインだったわよ…!?

評価:★☆☆☆☆

一言:ハウンドが良かった、それだけ★一つの評価

七王国の王、誰が鉄の玉座に座るのか ☆☆☆☆☆

もはや、何も言うことはない…

ターガリエン家の血筋を引くデナーリスとジョン・スノウが結ばれて共同統治し、二人の子供が代をなしていくのだと思っていました。ええ、そう思っていた時期もありました。

しかし、デナーリスとジョン・スノウは叔母と甥の血縁関係。おそらく、これがアメリカ人の倫理に受け入れられないと判断して、二人が結ばれる可能性を除外したのだろう、と想像できます。この点、歴史上、近親相姦は珍しくない日本や欧州は受け入れそうだけれどね。

ともあれ、デナーリスはあっけなく死に、唖然とします。デナーリスに狂気があることは分かっていました。それが悲劇をもたらすかもしれないと危惧もしていました。

が、それでもドラゴンの母、デナーリスの最後はもう少しドラマチックに盛り上げてやってくれよー!!!

フレイ家の気持ち悪い当主やタイウィン・ラニスター、マウンテン、ハウンド、シオン・グレイジョイ、ラムジー・ボルトンですら華々しく(?)死んでいったのよーそれに比べてヒロイン格だったデナーリスの死がこれでいいのかーーーー!!!(血を吐きながら叫ぶ)

ジョン・スノウはまた冥夜の守人(ナイツウォッチ)かよ…!と憤慨し、三つ目の鴉ブランが鉄の玉座に座るのかよ!?ブランは好きだよ、嫌いじゃないよ、好きだけれど、鉄の玉座にブランがなぜ座る!?

違うだろー!!!!!そこはジョン・スノウだろうー!!!!!(血を吐きながら叫ぶ)

おまけに最後の小芝居は何!?ブライエニーとポドリックがキングスガード!?ラニスターの領地を強奪したブロンが財務大臣!?サムがメイスター!?サンサがレディ・スターク!?(血を吐きながら叫ぶ)

いや、もう何もかもが違うのよー!!!!!

もうこうなってくると、何が何でも鉄の玉座はやっぱりジョン・スノウの物だったと思うわけ。

なのに、「マイクイーン」しか言わない愚か者になり果てたことが悲しい…ジョン・スノウは登場からしてヒーローだったし、実際、途中まで彼はヒーローになるべき男として行動し、彼こそは何かを手に入れることのできる男だったはず。

それがシーズン7あたりから怪しくはなっていたけれど、この最後は違うだろーあの世からイグリッドが怒って蘇るレベルだよ…

あ、そうそう、ティリオン・ラニスターもなぜ、こんなお馬鹿さんに…?あなた、サーセイのことを何もわかっていなかったのね…

管理人
デナーリスは狂気を見せている部分があり、確かに彼女に王座はふさわしくない、と感じる部分はありました。そこはジョン・スノウの善良さが補うと思っていたのですが…ターガリエン家の血を持つ人は一人でよかったのかもしれません

評価:☆☆☆☆☆

一言:何も評価に値しない

群像劇の面白さが失われ、陰謀がチンケになった悲しさ、展開の淡白さ

改めてシーズン1から見ているのですが、シーズン当初は今見るととても面白い…!

張り巡らされた陰謀と積み重ねられた歴史の悲劇から圧倒的な絶望感と陰鬱感が続くけれど、ハラハラとドキドキ感が半端なくてやはり面白いと思うのです。今だからこそ、気づくことも多くて面白いです。

管理人
例えば、シーズン8で名前だけ出てきた冥夜の守人のピップがシーズン1で出ていたことに驚きました(誰か全くわかっていませんでした…)

まぁ、ともあれ『ゲーム・オブ・スローンズ』は誰が主役という明確が決まりがなく、ラニスター家とスターク家、ターガリエン家を中心にグレイジョイ家、タリー家、フレイ家、モーモント家、バラシオン家、ボルトン家、アリン家、冥夜の守人、野人、ホワイトウォーカー、その他王宮内の人々などの面々が暗躍しているのが最高に楽しかったのです。

それがシーズン8になると、非常に淡白になってしまい、完全にデナーリス & ジョン・スノウ vs サーセイ・ラニスターの正義 vs 悪と単純化されてしまいました。

もちろん、物語の動きとしてデナーリスの行き過ぎた慈悲が現れてきて、単純な正義 vs 悪では片づけられない要素があります。それを鑑みてもシーズン8はあまりにも淡白な話の展開すぎます。ピンっと引っ張った糸のように張り巡らされた裏切りの連続だった深謀遠慮はどこへいったのか、と問いただしたい。

その結果、あのどうしようもない、ある種の悲劇的な結末に至ってしまったのだ、と。(血を吐きながら叫ぶ)

それにしてもシーズン7まではなんとかこらえて物語の面白さを維持していたのに、シーズン8になるとその魅力が失われたのか。

なぜ、誰も何者にもなれず、何も手に入れることができなかったのか?

なぜ、主役級の3人、デナーリスは慈悲を失い、結果サーセイとデナーリスの二人はつまらない死に方をし、ジョン・スノウは鉄の玉座を逃したのか。

原作がなかった

シーズン5までほぼ原作に忠実に作られ、シーズン6以降は原作者のジョージ・R・R・マーティンと相談の上、脚本が作られたとのこと。

どこまで作者の考えが反映されているのかは定かではありませんが、しっかりとした原作がある場合とない場合で狂いが生じてきたのだろうと思います。

個人的にシーズン6では違和感を感じませんでしたが、シーズン7以降はキャラクターがやや変わってきているな、と感じる人が少なからずいました。

そして、さらにキャラクター造形が大きく変わったのはシーズン8であり、結果として、脚本家や監督がなんとか片付けた結果になってしまったのでしょう。

管理人
原作者のジョージ・R・R・マーティンは偉大だ…と改めて感じ入りました…

参考 『ゲーム・オブ・スローンズ』原作氷と炎の歌シリーズ( Amazon )

予算が限られたいた

シーズン8は最終シーズンにもかかわらず6話しかなく驚きました。

そして、大まかに分けると前半の夜の王との戦い、後半はキングズ・ランディングでの戦い、と線引きされており、この2つの戦いのシーンに予算の大半がつぎ込まれたことは想像に難くありません。

その結果、他のエピソードがあっても入れる余裕がなかったのでしょう。

原作ありきから予算ありきに変わってしまった典型的な例なのではないでしょうか…

何よりも終わりありきだった

その終わりは何パターンか考えられたと思います。

  • 無難な終わり方
  • 驚かせる終わり方

無難なパターンといえば、ジョン・スノウかデナーリスの統治、もしくは二人の共同統治でしょうか。しかし、制作陣(か、経営陣?)は無難な終わりを望まなかったのでしょう。

今更悔やんでも仕方がありませんが、原作者のジョージ・R・R・マーティンならば、物語の世界を維持し、彼の思い描く終わりを描くために筆を走らせたに違いありません。

それを待てれば良かったのですが、前作から8年経った今も刊行されていないようでは…終わりがいつになるか甚だ不明です。その間に役者が歳を重ねてしまい、物語の整合性を保つことが難しくなってきます。

ここまで大ヒットしたドラマを途中で終えることは難しい、と制作陣は必死に頭をひねった結果がこの終わりだったのでしょう。

管理人
それにしてもあまりにも酷い…涙にくれるよ…

人気作の宿命を逃れえなかった宿命

映画とかドラマはちょっと人気があるとシリーズ化されることはよくあります。

が、経験上、シリーズが進むにつれて、駄作になり果てていきます。

例えば、わたしの中で衝撃の凋落として記憶しているのがマトリックスシリーズです。近々、4作目が出るようですが、恐れしかありません。1作目は狂喜乱舞する出来栄えでしたのに、2作目で「?」、3作目で涙にくれたわたしを覚えています…

それに比べると長丁場の『ゲーム・オブ・スローンズ』はかなりしっかりと持っていました。

ひたすら暗く、陰鬱で、エロにあふれているけれども魅せるものがありました。それどころか、シーズンを重ねるごとに魅力的になっていくことが素敵でした。

その『ゲーム・オブ・スローンズ』も人気作の宿命、つまり駄作になり果てていくことを逃れることができなかったのか…!と悲しいですね…

とにかく悲しいです…

アリアとジェンドリー、ブライエニーとジェレミーのこともあんなに雑に扱ってほしくなかった…

管理人
今、シーズン1から見返して3にきていますが、本当にこの頃は最高に面白かった…!シーズン7までは本当に面白いのよ…名作の最後はつくづく難しいですね…

参考ゲーム・オブ・スローンズ( Amazon )

リアナ・モーモントは永遠にわたしの心の中で生きている…!( ;∀;)

ワタノユキ

マイペースに生きる主婦 & 在宅ワークの日々(since20141003)。理想と現実の狭間を永遠に彷徨い中。 詳細なプロフィールはこちらにて。 わたしらしく年齢を重ねる もよろしく♡

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