最近ではあえてモノクロやサイレントで撮影した映画もありますが、モノクロ映画やサイレント映画はカラーや音声映画にない魅力があります。
モノクロゆえの美しさやおかしみ、滑稽さ、悲しみがあり、是非とも一度は見ていただきたいですね!
というわけで今回は今見てもなお楽しめるモノクロ映画を紹介します。
『極楽特急』1932年 エルンスト・ルビッチ
一時期、ロマンティックコメディの元祖、エルンスト・ルビッチの作品にハマりました。
ルビッチといえば、『 ニノチカ 』と迷ったのですが、わたしの記憶に残っているのは『極楽特急』だよね、と。この映画は内容なんかどうでもよろしい。
まぁいわば、アルセーヌ・ルパンと峰不二子ちゃんが出会ってそこに第三の女があらわれる、という話だと思っておけばOK。
美しくも知的なラブロマンス作品。
『グランド・ホテル』1932年 エドマンド・グールディング
ベルリンの一流ホテル、グランドホテルを舞台にした群像劇。
グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード…当時の大スターがこぞって出演したゴージャスな映画。今見ると、ストーリーと展開はありきたりですが、様々な人生の縮図を垣間見ることができるおかしみがあります。
グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード二人の大女優の美しさが見ものですね。
『カサブランカ』1942年 マイケル・カーティス
1941年、フランス領モロッコのカサブランカを舞台にした作品。
酒場を営むアメリカ人のリック(ハンフリー・ボガート)の前にかっての恋人、イルザ(イングリット・バーグマン)「と独立運動の闘士の夫が姿をあらわす。夫の命を助けるためにイルザはリックに助けを求めるが…
この作品で何よりも有名なのはリックがイルザに対して告げる「君の瞳に乾杯(Here's looking at you, kid.)」でしょう。
今見ても、ロマンティックでしびれる恋愛作品です。それにしてもイングリット・バーグマンの美しいこと…!
『第三の男』1949年 キャロル・リード
第二次世界大戦後の暗い影を引きずったウィーンが舞台。光と影を操った映画として今なお高く評価されていますが、それもわかります。
暗闇からぬーっと第三の男が顔をさらすシーンにはしびれ、観覧車に心躍りました。音楽と映像のマッチングぶり。ドキドキさせられます。完璧な映画です。
『現金に体を張れ』1956年 スタンリー・キューブリック
タイトルは「げんなまにからだをはれ」と呼びます。名匠スタンリー・キューブリックの初期の作品。
キューブリック作品といえば難解で意味不明な高尚な芸術作品…と敬遠される方も多いかと思いますが、こちらは軽快でポップな仕上がりになっています。競馬場の売り上げを狙う強盗事件、計画を実行するまでの間にメンバーの結束が乱れていき、最後には…と。
スタイリッシュでおしゃれな画面と息もつかせぬ展開が鮮やかで今見ても十分に楽しめるでしょう。個人的には骨の髄までしびれた作品であり、唯一理解できるキューブリック作品でもあります。
『シベールの日曜日』1962年 セルジュ・ブールギニョン
記憶をなくした元空軍のパイロットと親に捨てられた修道院に預けられた少女の愛の物語。
毎週日曜日に約束を交わし、二人は親子のように友人のように恋人のように時間を過ごしているが、周囲はそんな二人の関係を怪しみだしていき…
モノクロの画面で描かれたクリスマスのシーンが素敵で憧れたものです。いかにもフランス映画というファッションのスマートさも素敵です。
『勝手にしやがれ』1960年 ジャン=リュック・ゴダール
1950年代からフランスで起こった新しい波(ヌーヴェルヴァーグ)。
警官を殺してパリに逃げて来た自転車泥棒のミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとお互い自由で束縛のない関係を楽しんでいた。
そんなある日、彼の元に警察の手が及んでくる。パトリシアはミシェルの愛を確かめる為、彼の居場所を警察に密告…
と内容的にはあまり共感できないのですが、映像の鮮烈さとジーン・セバーグの魅力を堪能できます。なお、沢田研二の『勝手にしやがれ』はこの作品からインスパイアを受けているようですよ。
『突然炎のごとく』1962年 フランソワ・トリュフォー
ヌーヴェルヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォーの作品。ゴダールにはさっぱりとハマりませんでしたが、トリュフォーの紡ぎだす女性とロマンスの形にはシビレました。
二人の男と一人の女。男を翻弄するカトリーヌをジャンヌ・モローが魅力たっぷりにコケティッシュに演じています。これぞフランス女、というイメージ。
日本ならドロドロの情念がこもった作品になりそうなところをいかにもフランス映画らしい愛の形、という様。いわば、大人の恋愛ですな。
『ペーパームーン』1973年 ピーター・ボグダノヴィッチ
大恐慌時代のアメリカ、聖書を売りつける詐欺師の男、モーゼと、母親を交通事故で亡くした9歳の少女、アディとの、互いの絆を深めていく物語を描いたロード・ムービー。
詐欺師役を『ある愛の詩』のライオン・オニール、彼をきりきり舞いさせる少女を実の娘、テイタム・オニールが演じています。また、この作品で頭が回る少女アディを演じたテイタムは史上最年少でアカデミー賞主演女優賞を受賞。
詐欺師と押し付けられた娘、という偽物の関係がいつしか本当の親子のような関係になっていくほのぼのに心がほっこりとします。
『アーティスト』2011年 ミシェル・アザナヴィシウス
モノクロ、かつサイレント映画。
ちょっと洗練されすぎている気もしますが、古のハリウッド映画をうまく再現しており、心躍り眺めました。
時代としてはサイレントからトーキーへ転換する頃を描いており、サイレント映画の大スターの栄光と没落、新進女優の成功と恋愛が描かれています。
キュートで小粋な映画でハッピーエンドな終わりも安心させられます。
まとめ モノクロ映画の魅力とは?
わたしの母が映画好きでした。その影響でわたしもモノクロ映画をいろいろと見たものです。
わたしにとってモノクロ映画はカラーと違うドキドキ感とときめき感があるんですよね。モノクロ特有の美しさ、というかモノクロだからこそ引きたつ情景もあると思います。
あと、ちょっと特別感を感じたりもします。
それにしてもモノクロ映画は三角関係が多いなーと感じ入りましたことよ…男女の三角関係は永遠の命題なのでしょうか。
わたしなんか、ちっとも悩んだことがないのでなんか羨ましくなってきたわ…誰かわたしを取り合って…
今となってはみることが難しい作品もありますが、機会がありましたら是非チェックしてください。
それにしても、最近はAmazonプライムビデオにモノクロのクラシック映画がたくさん出ていて懐かしくもおかしくも楽しませてもらっています(^^)/