怖い女。
じわじわと心理的に追い詰めにかかってくる女。暴力じゃない、肉体的に追い詰めない、武器も使わない、ただ、心理的にじわじわと相手を追い詰めていく女。
自らが正しい、と信じているから。
ストレス発散のためだから。
何よりもわたしは間違っていない、ここまでわたしを追い詰めたあいつが間違っているから正すのだ。
さて、そんな女を描いた映画を紹介しましょう。
決して友達にはなりたくないけれど、一歩間違えると、わたしも・・・そんな闇を予感させる女を描いた映画を。
女同士の「あるある」争い、『白ゆき姫殺人事件』。
つい最近 Amazonプライム にて観ました。現実のOLの世界の一端を観たい方は是非どうぞ。
誰が嘘をついているのか、誰が真実を言っているのか、誰が事実を隠しているのか・・・ミステリーの世界ではよくある振り回しタイプの作品ですが、面白かったです。ドロドロなんだけれど、ドロドロしすぎておらず、「おお、こんな女っているよねー」と他人事のように見るがよろし。
ネット炎上や無責任な噂のありかた、プライバシーなどに問題提起をしている作品のようですが、そんなものはどうでもよろし。女同士のあざといまでに「あるある」足引っ張り感に何故か親近感を感じました(汗)。
原作は港かなえさんの『 白ゆき姫殺人事件 』。
思いつめた女の狂気、『アデルの恋の物語』。
「レ・ミゼラブル」などを世に送り出した文豪ヴィクトル・ユゴーの娘、アデル・ユゴーの報われぬ恋を描いた実話。映画ではイギリス軍中尉にただひたすらに一途に、一途すぎるほど恋い焦がれた一人の娘をひたすら淡々と描いております。それが怖い・・・恋の映画なのに「怖い」とは不思議なレトリックですね・・・
監督はフランソワ・トリュフォー。フランス映画界きっての恋愛映画の名手。トリュフォーは言うでしょう、「ストーカー女や狂っていく女を描いたのではない。ただ、一途に男を愛した女を描いたのだ」と。だからこそ怖い・・・
ヒロインのアデルを演じるイザベル・アジャーニが尋常なく美しく、痛々しく、自らを手放しても相手に「恋」という名の感情を捧げます。怖い・・・ただただ怖い・・・
そう、この映画はとにかく怖い。男性が観るときついかも、です・・・思いつめた女の恋の狂気を思い知るがよい。
夫よ、見るがいい、『ゴーン・ガール』。
怖い。とにかく怖い。。。
というよりもポップコーンを片手に映画を観ながら、「そうそう、女はこうするのよねー」と余裕でニヤニヤと眺めておりました。妻となるとこうなってしまうかもね・・・反面、世の夫諸君には辛い。そういう怖い映画。是非とも夫婦で見たかったわー笑顔
結婚5年目を迎えた幸せな夫婦。が、妻が失踪、台所に大量の血痕が、周囲の嫌疑の眼差しは夫に向けられていく。夫は必死に無実を訴えるが・・・
ベン・アフレックがハンサムだけれどちょいアレな夫を、そして、その妻役としてロザムンド・パイクが無表情で怪演・・・
何を書いてもネタバレになると思いますが、「オタクの奥様、本当に大丈夫?」と聞きたくなる映画であることは間違いありません。
今後の参考にしたいわ。
許せない!わたしの幸せを奪ったもの、『ゆりかごを揺らす手』。
女神の如き母性と復讐者としての冷酷さ。
演じたレベッカ・デモーネイの匂い立つような美しさと狂気のバランスがたまらないほど魅力的。昔、割りと好きな女優さんでした。上のパッケージで真ん中にいる女優さん。
そのデモーネイが夫の自殺により幸せの全てを失い、しつこくも地味な復讐(というか逆恨み)に燃える女をこれでもか、これでもか、と演じております。うわ、思い出しても怖い・・・でも、狂気の心を隠して常識人として振る舞う彼女に妙なシンパシーを抱いてしまいます。
女は失ったものを取り戻すために何でもする。
そう、いかなる手段を使ってでも。デモーネイの美貌と「女」という様が最大限に生かされた映画。
怖い女ならお任せキャシー・ベイツ、『黙秘』。
キャシー・ベイツと言えば、『 ミザリー 』での怪演も有名。
『ミザリー』が分かりやすい怖さだとすれば(マジで怖い・・・)、『黙秘』はじわじわと来る怖さ。ただただもうじわじわと来る怖さ。耐えうる女が持つ怖さ。とにかく、キャシー・ベイツ演じるドロレスのデーンっとした顔と、彼女の娘を演じるジェニファー・ジェイソン・リーの不機嫌顔に何故か「きゃー」と叫んでしまう、という。
ドロレスは殺人を犯したのか、否か。そのミステリー仕立ての展開はもちろん、愛するモノを守るためにすべてを耐えうる女、いや母の強さとやらにひれ伏します。暗くて淡々と進んでいく映画ですが、どーんっと引きこまれます。
原作はホラー小説の巨匠、スティーブン・キングの『 ドロレス・クレイボーン 』。それにしても、キングの幅の広さに驚かされます!女性の心をここまで繊細に描けるとは!さすがは巨匠。
底知れぬ「女の怖さ」を描いた映画まとめ。
こうやって振り返ってみるとゾクゾクしてきました。
一応、怖い女の年齢順に並べてみました。
『白ゆき姫殺人事件』の20代からずーっと年代が下がっていく形に。そして、『黙秘』のキャシー・ベイツは50代の設定なのかな、と。気になる年代がありましたら、是非、チェックをしてみてくだいさいませ。
女の怖さは暴力的なものではなく、じわじわと心理的に「相手」を追いつめていくところに怖さが。じわじわと執念深く。それゆえに忘れえぬ余韻をもたらします。
そして、たまには己を振り返ります・・・ええ、そう、じっくりと自省を。←?
近々、何らかの手段で『黙秘』を観ようっとwじわじわと来るのよ~